埼玉県幸手市 十八羅漢像があるお寺 天台宗 雲光山 常光寺
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江戸時代に編さんされた地誌に、東叡山寛永寺の末寺で遍照山雪浄寺と号し、本尊は阿弥陀如来、その他元三大師(平安時代に活躍した高僧、天台座主)の画像があると記されています。平成9年4月の墓地改修の際、境内の石碑を調査したところ、前途の元三大師像の由来が記された供養塔を確認できました。
●元三大師の由来について
当院は、東叡山寛永寺第三世の一品法親王解説院の建立で、安置してある元三大師像は、解説院の自筆であります。明和8年(1771)の火災で伝来の什物はみな焼失しましたが、かの元山大師像はにわかに火中より飛び出し、木に掛かっていました。まことに奇異なことですが、一層大切にお守りしてきたところ、文政2年(1819)には、今の東叡山一品法親王がご覧になり、たいへんお褒めくださいました。そして、末永く妙観院で供養するようお命じになりました。ついてはここに災難、諸病減少祈願に霊験あらたかな画像であるので、信心ある人はお参りしたほうがよい(原文要約)。文政4年(1821)2月の年号が刻まれたこの元山大師の供養塔は、歴代住職の墓石や道しるべとともに、現在本堂西側の一角に安置されています。由来記に記された元山大師像は、今のところ確認することができません。しかし、当時の幸手宿にあった信仰が石塔から確認されました。
 
●比叡山「中興の祖」
元三大師・良源は延喜12(912)年、近江国の浅井郡に属する虎姫(現・滋賀県東浅井郡虎姫町)に生まれました。幼名は観音丸(日吉丸とも)といい、12歳のとき(15歳ともいう)、比叡山に上り、仏門に入りました。その後南都(奈良)の旧仏教寺院の高僧と法論を行って論破したり、村上天皇の皇后の安産祈願を行うなどして徐々に頭角を現わし、康保3(966)年には天台宗最高の地位である天台座主に任命されました。当時の比叡山は承平5(935)年に大規模な火災があり、根本中堂をはじめとする多くの堂塔を失い、荒廃していました。元三大師が天台座主に就任した康保3(966)年にも火災がありましたが、大師は焼失した堂塔を再建しまた、創建当初は小規模な堂だった根本中堂を壮大な堂として再建し、比叡山の伽藍の基礎をつくりました。元三大師は、比叡山の伽藍の復興、天台教学の興隆、山内の規律の維持など、さまざまな功績から、
比叡山「中興の祖」として尊ばれています。
 
●角大師の由来について
疫病が流行していた、永観2(984)年の風雨の夜明けに疫病神が大師を襲おうとしたので、大師が試みにとして小指の先にそれを宿したところ激痛が全身を走り、高熱を発しました。これによって自らの降魔の姿として、疫病を退散させたというものです。その時の大師は「疫病をわずか一指に宿しただけでこのような苦しみを覚えるのだから、全身を侵され逃れる術(すべ)を知らない人々は、何としても気の毒であり、一刻も早く救わなければならない」と考え、鏡に自らを鬼の姿としたものを写し、弟子に残るところなく写し取らさせたといいます。それを版木に彫り、刷り上げたのが角大師の護符(お札)でありお札をいただいた家は、一人も流行病に罹らず、病気に罹っていた人々もほどなく全快して恐ろしい流行病もたちまち消えうせたとのことです。それ以来、このお札は毎年新しいものを戸口に貼るようになり、疫病はもとより全ての厄災を除き、盗賊他、邪悪な心を持つ者は、その戸口から出入りできないとされました。このような理由で、日本全国どこの宗派に属する寺院も正月には必ずこの護符を檀信徒に配布して、その年の厄災を防ぐようになったのです。
●通称「元三大師」
朝廷から贈られた正式の諡号(おくりな)は慈恵大師ですが、命日が正月の3日であることから、「元三大師」の通称で親しまれています。元三大師には「角(つの)大師」「魔滅大師」「豆大師」「厄除け大師」など、さまざまな別称があり、信仰を集めています。また、全国の社寺に見られる「おみくじ」の創始者は元三大師だと言われています。 なお大師の高弟には恵心(源信)、覚運の2大学匠と呼ばれる高僧がおり、それぞれ恵心流と檀那流の教学を大成しこれが関東天台の基礎となっています。
 
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